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静岡県を代表する温泉地・熱海。皆さんはその地名の由来を知っていますか? 今回は熱海の名前を調査します。歴史書には「海が熱かった」という記述も残っているそうです。
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熱い海? それなら水温を測ってみよう
いまや若者にも大人気の観光スポット、熱海。
駅前に天然温泉の足湯があるほどの温泉スポットで、全国的にも超有名ですが、なぜ「熱い海」と書くのか知っていますか?

海水が熱いのではないか?
そんなバカな、と思いつつも、実際に熱海サンビーチで海水温を調査しました。
海水を桶にすくって温度を測った結果は!?

にむらあつとリポーター:
15.1℃、当たり前だろ、1月だぞ!
念のため直接海に入って測ると、もっと冷たい12.9℃でした。
日が当たっていると言っても海水です。決して熱くはないのです。

では、なぜ「熱海」と呼ばれるようになったのでしょうか。
住民に地名の由来を聞いてみましたが、「温泉が由来なのでは?」と予想はするものの、正確な理由を知っている人はいませんでした。

間欠泉でヒントを探すも・・・
そこで、熱海サンビーチから車で約5分。温泉観光スポットとして有名な間欠泉へ。
「熱海七湯 大湯間歇泉」は、かつて熱海温泉の中心的な源泉でした。

近くにあった説明看板に熱海の由来が書かれていないか読んでみます。
大湯間歇泉は現在は人工的に噴出させていますが、かつては世界でも有名な自噴泉で、昼夜6回激しい勢いで温泉が噴出し、熱海の地面が揺れるようだったと記されていました。

しかし、熱海の由来には全く触れられていません。
ちなみに現在は午前8時~午後7時に、5分ごと3分間の噴湯が見られます。

やはり海は熱かった
大湯間歇泉の先に歴史がありそうな神社を発見。その名も「湯前神社(ゆぜんじんじゃ)」です。
境内にいたこの神社の奉賛会の会長・小倉一朗さんにも熱海の地名の由来を聞いてみました。
すると地元の歴史に詳しい小倉さんから、驚きの話を聞くことができました。

湯前神社 奉賛会 ・小倉一朗 会長:
昔は海中から熱いお湯が出ていたんですね
えっ? やはり熱海は熱い海だったのか?

小倉さんによると昔、海中に熱々の温泉が湧き出すことから「あつうみが崎」と呼ばれていたそうです。
「あつうみが崎」は徐々に「あつみがさき」になり、時が経つにつれ「あつみ」と言わず「あたみ」になったのだとか。

なんと、本当に熱海は熱い海のことだった!? のでしょうか。
奈良時代の伝説 高僧が漁師を救った
しかし冒頭測った通り、現在の海水温度はごく普通の状態です。
海が熱かったというのは本当か、実はそれを裏付ける伝説がありました。
小倉さんによると、その伝説は奈良時代に作られた伊豆風土記に記されているそうです。
ある晩、箱根の万巻上人の枕元で「海中に湧く熱湯で海が熱くなり、魚が死に漁師たちが困っている。そこに行って祈祷してきなさい」とお告げがありました。

そこで上人は、熱海の海岸へ来て祈祷を行いました。
すると海がにわかに静かになったと同時に、陸でドーンと音が鳴り響き温泉が噴き出しました。

それが今の大湯間歇泉になった、というもの。
この伝説によれば、奈良時代には既に熱海の温泉が存在していたことになります。
泉脈を現在の大湯間歇泉の地に移し、その温泉の守護神を祭った言われていてるのが湯前神社。

小倉さんの話から、熱海の歴史の深さがうかがえます。
地名を調べれば歴史が見える。熱海の華やかな観光地としての顔の裏には、古の伝説に記された深い歴史が隠れていました。
■スポット名 湯前神社
■住所 静岡県熱海市上宿町4-12
■問合せ 0557-81-9817
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